その年の当たり曲の有無によって増減を繰り返していたCDの売上げは、1998年以降増える年などなく年々減少の一途でしたが、久方ぶりに前年比4%とわずかながら増加に転じました。iPodの登場で、ますます音楽とはダウンロードをして聴くものとなり、CDの売上げは今後も落ちるだろうと誰もが思っていたのではないでしょうか。ところがこの現象はどういうことでしょうか。
次から次へと投入される新機能・新機種を追っかけていた携帯電話世代、お小遣いのほとんどは電話機代、電話、メール、パケット通信代に消えていました。携帯電話会社の定額制や割引の激しい競争でやや落ち着きを取り戻したところに、iPodの登場。こんどのお小遣いの流れは音楽です。どんどんダウンロードしてメモリーに貯め込みます。人の心理は不思議なもので、確かにメモリーは自分のものですが何か物足りなくなり、気に入った曲は物としてのCDで持ちたくなるのですね。もちろん売上げの増加は団塊の世代をねらったアルバムを企画するなどの努力もあってのことですが、深刻な影響が出るだろうと思っていたCD業界にとって、昨日の敵は今日の友、相乗効果万々歳です。