きんじょづきあい

 故あって、個人のお宅に品物をお届けすることになりました。
 住所を便りに最寄り駅からタクシーで向かいます。そこは8軒のアパートの一室でした。ところがあいにくのお留守。品物を持ち帰るわけにもいかず、言づけられるかお向かい、お隣、チャイムを鳴らしてみます。返答がありません。今のご時世、ほとんどが共働きなのでしょうか。
 8軒の内、2軒が未入居、6軒が留守。仕方なく通りを挟んで前の大きな家のチャイムを鳴らします。これまたお留守、その隣り、やっと応答がありました。「お付き合いがなく、全く知りませんから」 断られました。それならと大家さんのお宅を教えてもらいます。少し歩いて大家さん宅、むなしくチャイムだけが鳴っています。もう一度元に戻り、手当たり次第にチャイムを鳴らします。出てきてくれた方は同じ返答。遂に、とある奥さんが不本意の様子ながら預かってくれました。時たま小雨が降る中、汗だくでしたので、なんとありがたいこと。感謝です。
 不振な荷物が届けられたりする物騒なご時世です。見ず知らずの人から見ず知らずの人への荷物を預かることなど、普通ではできなくなってきています。それとは別に我が田舎では考えられないことですが、近所に住まいながらご在宅の方はどなたも尋ね人とは面識がないのです。よく聞く話ではありますが、実感してみてやはりどこかがずれてきているように思えてなりません。

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