昨日、大手スーパーのビールに関して行われた公正取引委員会の調査がらみの一面意見広告を、新聞でご覧になったことでしょう。私は朝日で見ましたが恐らく全紙に広告されたと推測します。
今月はじめ、公正取引委員会が酒卸売会社三社に対し、大手スーパーに原価以下でビールを卸し、周りの酒類小売業者の経営を立ち行かなくさせる恐れがあると警告したとのニュース、私を含め誰もが、「警告の相手が違うだろ」とお思いになったことでしょう。
そもそも卸売会社が、周辺の酒店をつぶそうと原価を割って損をしてまでビールを売るでしょうか。今はデフレ、買い手市場の時代、大手スーパーとならば、無理な要求も多少は応じ何とか取引を続けたいと思わざるを得ないのが実情です。ただこの無理な要求があったかどうかは実証が難しく、広告でも「独占禁止法に反する事実は認められなかった」と公言しています。更に、原材料価格の高騰など、合理的な理由がない中での値上げは今後も応じる意向はないと断言しています。「損をしているかどうかは知らないが、今までそれでやってこれているのだから、今後も値上げは認めないよ」と私には受け取れます。
ひとえに「お客様のため」との論拠ですが、この「お客様」とは何でしょうか。自店で商品を買ってくださったその時点だけが「お客様」で、その背後の社会生活は抜け落ちているのではないでしょうか。
ビールならば商品も安定して問題はないでしょうが、物によっては厳しい値下げに応じ品質を下げる以外なく、結局は「お客様」へ跳ね返り、ひいては物を見る目も剥ぎ取ってしまっています。
今回の卸売会社への警告は、大手スーパーへの遠回りの警告だと思っていますが、この警告を受け値段の改定を申し出たならば、他の卸売会社が割り込んでくるのでしょう。その辺りがなんとも割り切れない気がします。