考える力

 先週の金曜日でしたか、夕食時にテレビを観ていて驚かされました。大学で学生に算数の補習授業をしているというのです。それも、小学校高学年から高校初年度程度の内容です。そんな設問に、正答率が3割台の大学もあるとか。ご覧になっておられない方はこちら(※1)をご覧ください。
 恥ずかしながらインタビューに答えている学生は、「受験科目にないので数学は全然勉強していません。」 少子化で学生数を確保しなければいけない大学事情が見え隠れしています。さすがにこの状態で社会に出せば、大学の名が汚されると対策に乗り出したのでしょう。
 そもそも私の持論では、算数や数学は、正答を導き出す以前に「論理的に考える力」を身につける教科です。この「考える力」は科学技術の分野に限らず全ての分野の根幹で、他の教科では得られないものです。そんな科目をはずす大学の教育姿勢も分かりませんし、ただ試験に通るだけの叩き込みをやってきた学生が、考える力無くしてどんな能力を身につけようとしているのでしょうか。
 気になるのは教育関係者がこの学力低下を、「ゆとり教育」に短絡している点です。私は、与えられたことにとらわれず自分たちで考えて分からないことを学んでいこうとの方針は良いことだったと思います。ただそれには考える力が必要です。今の学力不足は、正しい答えを素早く出せればいい、多くのことを知っていればいい、そんな試験に通る手段ではなくこの根幹がおろそかになっていた性ではないでしょうか。考える力があれば、知識がないと考えられないことも判るでしょうし、素早く答えを出す手法も必要とあらば、自らが考え出すことでしょう。

(※1) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120224/k10013268351000.html

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