おいしそう

 悲惨なニュースの後、昨夜はその道の達人を紹介する「超人」で、心の清掃をしていました。昨夜は生ハム・ソーセージ造りの斉藤重信さん。数々の賞を取り、今はハム・ソーセージにとって風土環境の良い箱根に居を移して、飽くなき素材への探求や、若者への技術の伝承に努めておられます。
 もうずっと以前、会社勤めの頃ドイツに行く機会があって、今でこそ日本でも美味しいソーセージがありますが、そこで食べたソーセージの「これは全く別物」との印象は今でも消えません。
 素材肉の良さが直接品質に影響するのは分かりますが、その地の湿度やバクテリヤ、それに袋に詰める技術ですらその味に現れるのには驚きです。恥ずかしながらソーセージにもボイル向きと焼いて良いものとがあることも知りました。ボイルした後少し焼き目を付けて皮をぱりっと仕上げる食べ方も、次から試してみることにします。
 画面からは氏のいかにも楽しげな仕事ぶりが伝わってきます。遠くからでもわざわざ買い求めに来るお客さん、こだわりへの信用の結果です。のれんを守る日本の商いの中、技術を学びに来る若者は拒まずの気概にも感心します。
 自分がこれぞと思う仕事に邁進し、お客さんの信用を得る、こんな羨ましいことはありません。造られてゆくハム・ソーセージは口の中に唾がわくほど美味しそうでしたが、製造にかかわる者にとってはこちらの方がもっとおいしい事柄です。

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