文化財

 先月のキトラ古墳壁画の公開に続き、今月は高松塚古墳の壁画が公開されています。切り取られたキトラ古墳の壁画には19日間で3万7千人を超える人が詰めかけ長蛇の列、壁画が描かれた高松塚の解体された石室の石板を見るのは予約制で、列に並んで長時間待つ必要はありませんが、自ずと人数は限られます。
 いつも感じるのですが、本物を見るのとレプリカを見るのとでは、事前の心構えも違いますし、見た後の感銘の受け方も違ってきます。レプリカといえど、現在の技術の粋を注がれて造られているのですのに、潜入観念がそうさせるのか、いつも不思議です。
 文化財関係には多額の税金が注がれています。日本の文化遺産を後世に残し次の世代へと受け継いでいくためにはもっともなことです。ただ修復して保存しておくだけでは意味がありません。現在生きる人がその文化を目の当たりにし、その良さをその人なりに生かせなければなりません。その意味ではもっともっと長蛇の列をつくらなくとも、人数に限りがなくとも、気軽に鑑賞できる機会が欲しいものです。
 非公開だ、秘仏だと、普段人の目に触れさせないことで価値観を植え付けている気がしないでもありません。文化財価値は人の目に触れて下がるものではありません。もっと気軽に文化財に触れられる機会を期待します。今回は仕事柄繁忙期に入ったことで、せっかくの機会に見に行くことができず、尚更期待します。

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