湿気 ←→ 手延そうめん

 雨の季節になってきました。当店の手延そうめん類はこの季節の湿気が大敵です。そこで雨の日を避けて出荷をするのですが、以前のように自前で配達をするのではなく、路線の便を使っていますので、これがままになりません。古いお付き合いの問屋さんですと、「天気見て送ってや」なのですが、スーパーの棚に並ぶとなると、納品日指定ですのでやむを得ません。ほとんどの荷受け場所には屋根がありますので、直接雨に濡れないのが救いです。
 この湿気、実は手延そうめんには必要なのです。蔵に寝かされた適度な水分率の手延べ素麺はこの時期身をギュっと引き締めます。これを「厄をする」と呼び、一層の腰が出てきます。機械造りの麺にはない綺麗に並んだ分子構造と、適度な水分をあえて残した手延べの特徴です。
 いまでこそ水分率は定量できますが、昔の人は手で触った感触など肌身で感じて、カビをもたらす湿気と手延べの特徴の天秤の双方をうまく制御していたのです。感心します。

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