もう隠し通せないと観念したか、防衛省前事務次官の口から二人の防衛庁(省)長官経験者の名前が出た。その二人の記者インタビューへの返事はいずれも「記憶にない」だ。事務次官にしたって、利益供与に関する事柄については「記憶にない」である。これを聞いた国民の何%が彼等を白と思うか? 0%と確信する。記憶から拭いたい事柄とは思うが、この「記憶にない」事柄は今後一生彼等の記憶からは消えぬ。福田総理に至っては、「そのような会合に政治家が出席することはよくある事だ」とまるで開き直りだ。ならば「宴席には出たが何もやましいことはない」と言えばいい。逆に後ろめたい気持ちが見え隠れする。政治家にとって、利益が絡む立場の宴席がよくあるというのも、国民にとっては腹立たしいことだ。
一連の流れの中で当事者の人としての心情が計れるのは救いだが、彼等が信念を持って国家の方向を決める仕事を選んだとは微塵も感じられない。白黒は別としても、たかが3年程前の事案に登るほどの事柄を忘れてしまう健忘症の人に国を託して良いとは誰も思うまい。ましてや大臣なぞとは以ての外だ。