親から子へ

 先日消えていく鼻濁音の話を取り上げましたが、日本人の基本ともいえるお箸の正しい握り方ができる人の割合が3割ほどと聞いて驚いています。「どうしてお箸は決まった握り方をしないといけないの?」などの質問を聞くと、更に悪化するのではとの危惧を抱きます。
 前にも述べたかも知れませんが、私はお箸の握り方で随分恥ずかしい思いをしたことがあります。
 入社直後、英会話の勉強会に入ったのですが、講師は米駐留軍将校の奥さんで、少人数であったこともあり、食事会をしたりハイキングに行ったりと、和やかな雰囲気での学習です。ところが食事会で、その先生からお箸の握り方の話が出たのです。私はそのときには正しくお箸を握れておらず、いわゆるクロス箸でした。外人の女性が正しい握り方の話をするのに私は、と顔をまともに向けられずじまいでした。
 それ以後握り方を修正したのは言うまでもありません。マナーや作法は親から子へ、先人から後人へと伝えられます。親ができなくては子に伝わりません。マナーや作法にはそれぞれに理由があります。昔はとにかくやらされ、後になって「こういうことだったのか」と自ら気付くものでしたが、今は理由付けして伝えねばならないのかも知れません。そのことも加味し世の親御さん、知らなかったことは新たに学び、知っていること供に子供達に伝えようではありませんか。子供さんに恥ずかしい思いをさせないためにも。

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