昨日、読売や日経などの朝刊紙面に「偽『三輪そうめん』販売」の文字が踊ります。我々三輪素麺の製造販売に携わる者の集まりで、以前から「ひどい偽物」と話題に挙がっていた商品です。確信はあっても証拠を提示しないとお役所は動いてくれません。立ち入り調査権がない以上、証拠などつかめるべくもなく、告発されるほとんどは内部告発に依るものです。ところが今回は、別商品の賞味期限を改ざんした疑いで告発され、その倉庫捜索で「中国産」を「三輪素麺」と張り替えた商品が見つかったのです。我々にとっては「棚ぼた」です。
偽物は後を絶ちません。民間企業の努力で偽物を絶つのは極めて困難です。でも「偽物が出るのは知名度が高い」と喜んでばかりはおられません。消費者から「食感が違う」とクレームが相次いでいたと紙面にあることからも、製造販売に携わる者として偽物を排除するための本筋は、「皆様の口」に信頼を寄せることです。そのためにも伝統を守りしっかりとしたもの造りをすることが我々に科せられています。
一方消費者の立場に立てば、如何に自らの「口」を鍛えるかが大切と言えます。「高かろう不味かろう」は最悪ですが、「安かろう不味かろう」は消費者側にも問題はあります。いつも「満腹になればそれでいい」では味気ない人生です。「安かろう美味かろう」を見いだす「口」を何とか身につけたいものです。