今、最大の問題の一つ、偽装、その主たる原因はお金です。名誉欲による偽装もあります。その一つが、今お隣韓国で起こっている黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大学教授の「ヒトのクローン胚から世界で初めてES細胞を作ることに成功した」という偽装疑惑です。
私には当事者でもなく、まるで違う世界の事柄で「そんなことが起こっているのか」なのですが、ありがたいことに別分野の知識を与えてくれます。構造計算偽装でもそうでしたが、このニュースでも「『ES細胞』ってなんだ」の疑問。例えば学術用語集(※1)に依ると、ES細胞とは、通常の細胞とは違って機能が限定されておらず、あらゆる機能の細胞に変わりうる細胞とのこと。ヒトのクローンという面で倫理上の問題はあるものの、あらゆる病気の治療に応用できることでは、画期的な業績なのです。
もう一つは、米紙サイエンスに論文が掲載されて以来、国民は「韓国に初めてのノーベル科学賞をもたらす人」と大変な熱狂ぶりで、「少し疑問がある」と取り上げたテレビ番組はバッシングに合い、スポンサーも降りてしまう事態に立ち至ったとか。「人はいかに大勢に流されやすいか」ということでしょう。成果の偉大さに比べ本人が至って謙虚であったことも手伝って、一時は大変な持ち上げようだったのですが、本人が不備の一部を認め、論文を取り下げるに至っては、その熱も急速に冷めてしまったようです。
(※1) http://homepage1.nifty.com/NewSphere/EP/b/bio_ES.html