万葉人の日本語表記

 今日は金曜日、朝日新聞の連載記事「飛鳥むかしむかし」の日です。先週と今週は飛鳥の遺跡の更に下に眠る弥生時代の遺跡がテーマですが、最近の記事で興味深かったのが、「日本語表記の始まり編」です。
 中国から入ってきた漢字を使うのは誰もが知っていることですが、漢文で習ったように返り点で読むのではなく、文字の持つ意味と読みで、万葉人は日本語を表現したようです。読みも音と訓があり、読み解くのは難解で、広範囲の知識を必要とするようです。
 例としてご存じ額田王の歌、「金野乃美草苅葺屋杼礼里之兎道乃宮子能借五百磯所念」 (秋の野の御草苅り葺き宿れりし宇治の都の刈り庵し思ほゆ)が取り上げられていましたが、とても素人に読めるものではありません。「金」がどうして「秋」かは、陰陽五行説の木、火、土、金、水が季節の春、夏、土用、秋、冬に対応するところからきているのだそうです。
 「二八十一不在国」を(憎くあらなくに)と読むのは、9x9=81なのだそうで、江戸時代に流行った判じ物の世界です。
 思うに、万葉人にさえ声に出して詠じてもらわなければ読めない人もいたことでしょう。今の時代にもおられますが、万葉人は歌を通じて知識をひけらかすところが有ったのでは無いでしょうか。でも判じ物の遊び心は好きですね。

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