昔々のことですが、「数学マジック」のタイトルで、本に書かれていたトリックをいくつか紹介したことがあります。今日はその内の一つをもう一度紹介します。
「1から100までの数字で好きなのを一つ思い浮かべてください。三つの質問でその数字を当ててみせます。」
「その数字を3で割った余りはいくつですか?」 「1です。」
「5で割った余りはいくつですか?」 「2です。」
「じゃ最後、7で割った余りはいくつですか?」 「4です。」
「判りました。思い浮かべた数字は、67ですね。」
解き方は、聞き出した余りの数にそれぞれ70、21、15を掛けて合計をします(暗算ではちょっと厳しいので電卓があればいいですね)。今回の例では、172です。合計が105より大きいときは、105以下になるまで105を引きます。今回の例では一回105を引き、67がその答えです。
前回はここまででしたが、もう少し考えてみます。少し長くなりますが、お付き合いください。
どうして答えが導き出せるかは、思い浮かべた数と余りとの関係を数式で表すと、さほど難しくはありません。
N = 3a + x
N = 5b + y
N = 7c + z
余りの数にそれぞれの数を掛けて合計した数を n とすると、
n = 70x + 21y + 15z = N + 105( N – 2a – b -c ) となり、求める数 N に105の倍数を加えた数になっています。
でも、3、5、7と70、21、15の必然性が今一解りません。ただ3、5、7の最小公倍数が105であり、70、21、15はその約数または倍数であり、その合計は(最小公倍数+1)になっていることが判ります。
これを元にほかにも組み合わせがないか、調べてみました。大きな数ではマジックとして実用性に乏しいので、小さな数で次の三つが見つかりました。
除数が 2、3、 5 掛ける数がそれぞれ 15、10、 6 最小公倍数が 30
除数が 2、5、 9 掛ける数がそれぞれ 45、36、10 最小公倍数が 90
除数が 3、4、11 掛ける数がそれぞれ 88、33、12 最小公倍数が 132
です。
小さな子供さん相手では30までの数字が良いかもしれません。またマジックは二度繰り返さないのが鉄則ですが、一度目は3、5、7の余りを聞き、二度目は3、4、11で余りを聞くのもいいですね。一度機会があればお試しください。