急がば回れ

 先週の金曜日、三重県伊賀上野で懇親会がありました。台風12号の接近で、開催が危ぶまれましたが、速度が遅いのと当初の進路より西にずれていっていることで、開催に踏み切られました。
 時折の吹き殴りの激しい雨も、講演会が終わり宴会へと移る頃には、小雨に変わっています。宴会の途中、出席者の一人から、「名阪、雨で通行止めになってるで」と聞かされます。名古屋からここ伊賀上野を通り、大阪へと通じる幹線道路です。
 宴会が終わり、さて帰宅。雨も降ってなく、この分では通行止めも解除になるだろう、行ける所まで行ってみようと名阪国道にのります。別ルートより1時間近く短縮されることが、そう判断させたのです。
 もくろみはもろくも崩れ、途中で通行止め。そこを追い出されると、走ったことのない山道の連続。「自宅へ帰る」のナビの指示に任せるしかありません。
 時折二車線に整備された所はあれ、ほとんどが細い山道。出会う車もなく、ヘッドライトに浮かぶのは、風に引きちぎられ路面を覆う葉っぱや小枝。ときどき転げ落ちた石塊も目に付きます。出てくる標識はゴルフ場への案内板。この先通れなくなったら、Uターンさえできないな、と次第に不安が募ります。
 ナビに案内されどうにか出た先のインター、ここでも係員がダメダメの合図。更に山道へ。またまた同じゴルフ場の案内板。
 こんな山中にも集落があります。二車線に広がった道で突然バリバリと異音。吹き飛ばされた波板を踏んだようです。目の前には、道の真ん中に物置のような建物がつぶれ、飛び出た木製の梁が、隙間道路の上空をさえぎっています。恐る恐るすり抜けますが、道はいよいよ細くなる様子です。
 ここにきて決断。「自宅へ帰る」のナビを、「名張中心部」へと変更します。ずっと南の市です。
 「こんなところを右折していいの」などと思いながらも、ナビの指示に従う以外ありません。見下ろす形で街の灯が見えてきたときには、「おお、町だ」と感慨を覚えます。
 日曜の夜、そして今朝のニュースを見ると、亡くなっておられる方も多数で、被害も多く出ています。あらためて「よくぞ帰れたな」の思いです。
 最初から名張経由で帰っていれば、結局のところ早く着いたのです。「急がば回れ」 何かの時には、少々損と感じても安全が第一ですね。

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