国産 春雨

 中国製冷凍ギョーザ問題を契機として、当店の春雨のページに多くのアクセスをいただくようになりました。その大部分が「国産 春雨」の検索ワードでの来店、更にその内の半数ほどが「国産 緑豆春雨」ですので、皆さんの参考のためにここに書き留めておくことにします。
 そもそも国産の春雨は、中国の緑豆春雨を模して国内生産の澱粉(馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉)を原料にしてつくられました。緑豆春雨は直径6~7mmのその名通り緑色の小さな豆から精製した澱粉でつくられ、細く透明性の高い腰の強い麺です。当初は高価な麺であったのですが、中国からはもちろんタイ、ベトナムなどからも輸入が進み、価格が急激に下がり、緑豆澱粉100%で無いものが更に価格を下げ、市場で春雨といえば「緑豆春雨」を指すようになりました。
 味付の悪さを除けばとても良い麺ですので、「国内春雨も緑豆澱粉でつくれば良いのではないか」との考えも出てきます。ただもやしの原料として緑豆が輸入されることはあっても、国内で緑豆を大量に生産している話は聞きません。国内での精製コストが見合わなくとも、精製された緑豆澱粉を輸入してコストを下げることは可能です。現にかなりの量が輸入されています。が、関税がかかります。農水省の枠内で申請して許可されれば若干関税は下がりますが、それでも緑豆澱粉の価格は、輸入される緑豆春雨の価格を上回ります。しかもそもそも輸入原料を使うのであれば「国産」とはなりません。
 市場価格とコストが最大の要因で、私の知る限り「国産 緑豆春雨」はありません。少なくとも緑豆澱粉50%以上の麺が製造ラインを流れているという話は耳にしません。今後もコストの面から、国内産の緑豆春雨を市場が受け入れることはないと思います。
 
 余談ですが、「輸入された緑豆澱粉はどこに使われてるの」との疑問が出ることでしょう。実はほとんどがお菓子屋さん、特に和菓子屋さんで使われています。

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