生まれて初めて京都五山の送り火を観てきました。本来は仏教的行事で、再び冥府に帰る精霊を送る意味なのですが、不謹慎ながらこちらの方は観光気分です。
二条駅近くのホテルに昨夜は宿泊、8階の展望の良い部屋で、「あそこに点火されるんだ」と火床のために切り開かれた「大」の形の地肌を見ながらの夕食、8時の点火に間に合うように180度展望の開ける屋上へと登ります。既に大勢の人が点火を今か今かと待ちわび鉄柵に張り付いています。人の奇声につられ見ると「大」の字が暗闇の中に浮かび上がってきます。
「大文字」から遅れること10分、「妙・法」。残念ながらこちらは低い山と見えて文字の下の方がビル群に隠されています。そして5分後、今度は真正面に「舟形」と「左大文字」。こちらはくっきりと目に焼き付きます。そして最後は左方遠くに「鳥居形」が浮かび上がります。
食事の時、眼下に家族を発見しました。自宅の屋上でしょうか、テーブルを持ち出して「送り火を肴に一杯」の雰囲気です。あの位置からでは「大文字」しか見えないと思われますが、毎年8月16日の恒例行事なのでしょう。京都も高いビルが建ちだし、彼らの楽しみもいつまで続くことでしょうか。このホテルの前にもクレーンを眼前にしてビルが立ち上がりつつあり、五山すべてを見渡せるのもラストチャンスだったかもしれません。