私共にも津波が到達するようになりました。
ヤマト運輸の残業代未払い問題から発展して、過重労働を避けることを目的として、大口利用者との取扱量の制限と運賃の値上げの交渉が最終段階にきています。同業他社もこの状況を静観しているわけではありません。少なからず同問題を抱えているでしょうから、むしろ好機と喜んだことでしょう。ただそこには企業としての戦略が見え隠れします。佐川急便は、小サイズの取り扱い増を狙ってそのサイズの値上げは見合わせますし、後発のゆうパックは、他社の出方を確認した上で、来年3月からの値上げです。
宅配便に限ったことではありません。メーカーからの大量の卸荷物の配送を受け持つ路線便各社も、この機を見逃すはずがありません。全体的にみて総物量は増えておらず横ばいですから、ガソリン値上げの際も、運転手不足の際も、同業他社との競争でなかなか運賃値上げに踏み蹴れない状況でしたが、ここにきて震源から発せられた津波は、私共にも到達しました。
運賃の値上げは、製造過程の努力で吸収するのは難しいですから、値上げや質の低下の形でやがて消費者の皆さんに被さってきます。単にヤマト運輸の企業問題とはとらえておけません。来年春以降には、足をくすぐる心地良いさざ波に見せかけて、皆さんの所へも津波が到達することでしょう。