会社勤めの頃の思い出の一つが、死海に行ったことです。学会の会議で、同時に開催されるいくつかの講演会に出て、その内容をレポートにまとめる目的でイスラエルのエルサレムに出張した時のことです。
一週間の会議の内の休みの一日、同業他社からの同行者数人と車を借りて死海へと向かいました。途中何回か軍人の検問にパスポートを提示し、海抜0メートルの標識を過ぎてさらに下っていきます。
到着した死海にあったのは、当時は着替え用の小屋と、脇にぽつんと立つシャワーポールだけでした。「本当に浮くの」の疑問を持つまでもなく、泳ごうとしてもおしりがプカッと浮き上がり泳げたものではありません。「塩分で目を痛めるから絶対に顔を水に浸けては駄目」の注意を守ります。同行の一人はあらかじめ傘と新聞を準備し、観光ガイドの写真よろしく、上向きで足を投げ出して浮きながら傘を差したり、新聞を読む振りをしたりと茶目っ気です。
その死海も、生活用水として流れ込む河川の水が使われ、枯渇の危険性が叫ばれてしばらくたちます。ニュース(※1)によるとやっとその対策案がまとまったようです。紅海からパイプラインで水を引く壮大な計画です。
もう一度行けることはないでしょうが、貴重な自然のなせる光景を残せることはとても良いことです。誰もが気軽に行けるよう、あの地域の政情不安が払拭されることが、その前提ですが。
(※1) http://sankei.jp.msn.com/world/news/131210/mds13121013200001-n1.htm