Po210

 KGBから代わったFSK(ロシア連邦防諜庁)の局員であったリトビネンコ氏が暗殺された事件、その手段がポロニウム210。会社勤めの頃放射線をかじっていた私としては誠に恥ずかしいのですが、この放射性同位元素については全く知りませんでした。
 ウラン238が4回の崩壊をしてラドン222が生まれ、更に2回崩壊して生まれる元素、最大許容身体負荷量が1兆分の6.8gとWikipedia(※1)にありますので、想像できないくらい強力な比放射能を持つ元素です。出す放射線はα線ですから、紙一枚や空気でも止まりますので外部にある限りさほど驚異ではありませんが、体内に取り込むと放射線障害で生物などひとたまりもなさそうで、事件直後の氏の写真で頭髪がすっかり抜け落ちているのも頷けます。
 放射能を持つ物質は他の物質に比べ、出す放射線を調べることで極めて微量でも特定できる特徴があります。しかも原子炉の設備が無いと大量には得られない物質とあっては、これを暗殺に使うには少し疑問が残ります。十分に見せしめ的な要素を感じます。今噂されているのが真実であれば、ぬるま湯につかっている日本人には身の毛のよだつ驚異です。
 
 余談ですが、タバコの煙にも極微量ながらこのポロニウムが含まれているようです。喫煙のやめられない方、この事件をきっかけに禁煙されてはいかがでしょう。

(※1) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0

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