漁り火

 日本でもエネルギー効率の悪さを理由に、白熱電球の製造販売が近い内に終了されると聞きました。
 「今朝の三輪山」シリーズでも三輪山の手前に見られるように、ここ大和盆地では蒲鉾形のビニールハウスが農地の上にたくさん作られ、野菜や苺などの速成に役立っています。京都ほどではありませんが、盆地特有の気象で冬や夜は冷え込みます。夜の冷え込みに備えて、ビニールハウスでは中に白熱電球を灯し、その熱で暖房をする光景が見られます。
 たくさん集まると、暗闇に白く輝くビニールハウスはもうただのビニールハウスではなくなります。山の上の道路から見下ろすと、陸の漁り火のようです。
 昨今の環境への取り組みから、エネルギー効率を求めるのは無理もないことですが、あの光景がなくなるのは寂しい気がします。製造販売を止めるのは、販売量が激減し高付加価値の商品に移行したからではなく、エネルギー効率が理由なのが、せめてもの救いです。

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