シカ踏切

 「近畿日本鉄道(通称 近鉄)が導入した『シカ踏切』が絶大な効果を発揮している。」(※1)を読むと、近鉄がこの地の我々の足であるためでしょうか、ちょっと「やったね」という気持ちになります。
 野生の鹿との接触事故で、ダイヤの乱れのトラブルに頭を悩ませていた近鉄が、一人の鉄道マンの発想で、いままであれやこれやの鹿を線路に入れない対策から一転して、電車が走らない時間帯には「どうぞ通り抜けてください」と逆転の対策。それが功を奏し、今次々と対策箇所を増やしているとのことです。
 奈良といえば鹿を連想されるかも知れませんが、これは観光地の鹿(これも車との接触問題があるのですが)ではなく、この地の鉄道ですから山裾の人気のない区間を走る箇所も多く、そこに数多く生息する野生の鹿の話です。
 話題では「人と鹿との共生」の発想と持ち上げていますが、ちょっと異論を挟むとすれば、本来鹿には活動範囲があるそうで、それを分断する鉄道は鹿にとっては迷惑千万の話。柵を乗り越えてでも通り抜けたい気持ちも分かります。野生の鹿が増えたのも、人によって天敵のオオカミが減らされたためと言われています。ならば、対策を考える最初の一歩は、柵やロープや野獣の糞尿などではなく、「共生」からでしょう。
 人には聞こえない超音波の利用は、群がる鳥を追い払うなどに実用されています。鹿にも効くのですね。でも慣れてしまわないかと素人懸念をしますが、そこは技術大国、慣れないよう周波数や発生リズムを変化させるそうです。でも人への影響はまだ解析されていないと聞きますから、課題は残りそうです。

(※1) http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/29/news056.html

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