危険の内の有用性

 世界では、今まで知識のなかった感染病のニュースが、次から次へと現れます。エボラ出血熱のニュースが下火になったかと思えば、こんどはリオデジャネイロオリンピックを間近に控えたブラジルでのジカ熱。ワクチンや特効薬がなく、人の交流が盛んになった現代では、感染スピードも脅威です。
 対策の一つとして、IAEA(国際原子力機関)が、放射線で媒介となる蚊を不妊化する事業移転を発表しています。放射線と聞けば、真っ先に「危険」を思い描く我々ですが、人間の知恵は危険と隣り合わせの内に有益な効果を数多く見つけ出してきています。ワクチンのように即効性は無いにしろ、自然の営みを急激に壊すこと無く、感染の拡大を食い止める有効な手段です。
 人は今まで、危険を抑え有用性を生かす知恵を発揮してきました。放射線といえば「原子力発電所」が思い浮かび、福島原発の惨状をみれば誰もが「原発反対」ですが、人の英知の結集をそこで止めてしまってよいのか、との疑問が私には湧きます。
 「原発再開」も現状の利害関係だけで動いている気がします。本質は何なのかの議論が、あまりにも少ないのではないでしょうか。

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