梅雨の最中、集中豪雨のニュースが土砂崩れの注意を呼びかけています。この時期に呼応した、日曜日のNHK、「深層崩壊が日本を襲う」ドキュメントは私には新たな知識でした。
「裏山が崩れ家屋に被害」ニュースの多くは、勾配が35度以上の傾斜で発生し、土砂の量も深さがせいぜい3m程、人が手を加えればなんとか被害を少なくできる範囲ですが、昨年台湾で発生した深層崩壊は、崩れることなど無いだろうと思われていた勾配が25度程度の裏山で、水路にあたる場所だけが危険地帯とマークされていたのですが、広範囲にしかも80mの深さに及ぶ土砂が一気に流れ下り村一つを飲み込んでしまいました。調査に入った日本の専門家に、「まるで素人のように唖然としている」と言わしめる自然の力です。
調査では、何百年、何千年に渡って土砂の重みで岩盤が歪曲・ひび割れし、そのすき間から大量の水が入り込み土砂が浮かび上がってずり落ちた結果とのこと。国交省は航空写真で土砂の重みでひずんだ地形を探し出して、深層崩壊のハザードマップを作成し、関係自治体に避難誘導のシステム作りを呼びかけ始めたところとの内容でした。
温泉地の多くがそうであるように、山間の集落、背後には紅葉が楽しめる山々が間近で、前には水音が人を癒してくれる川が流れ実に絵になる風景。そんな情景が一瞬で消えてしまうのを想像するのはやるせないですが、人の命には代えられません。技術者に自然に打ち勝つ技術を求めるのはコクですが、同じ災害を繰り返さない更なる次善努力をお願いしたいです。