仕事関連を取り上げるのはこのブログの本意ではないのですが、「三輪素麺」に少しでもお近づき頂きたいと、今日は卜定祭(ぼくじょうさい)の紹介です。
昔々、その年の三輪素麺の価格は、年明け早々の初市初相場で決まり、その値が手旗信号により生駒山を越え大阪に伝わっていました。今はその時期に合わせ、ここ三輪の恵比須神社で商売繁盛の初戎が催されます。
よくテレビで取り上げられる大阪今宮や西宮の十日戎より1ヶ月も遅いとお思いかもしれませんが、古くは人々の生活は旧暦で動き、年の初めがこの時期に当たります。今の暦では旧暦の正月は年ごとに相前後しますが、今は2月6日を初戎の日と定め、その前日(宵戎)に、三輪素麺に携わるもの諸々が三輪素麺発祥ゆかりの大神神社に詣で、神様に今年の価格を卜って頂くト定祭が始まりました。その伝統が今も脈々と受け継がれています。
神様に価格を決めて頂くとはいえ、その場でいくらと御裁定を頂くわけではなく、予め生産者と販売者が協議をして三段階の価格(安値、中値、高値)を決め、神の御裁定に委ねます。その昔どうしても価格の折り合いが付かず、「ならば神さんに決めてもらおう」となったのかもしれません。
今は自由経済ですから、最終的には売り手と買い手との価格交渉で決まるのですが、後で一年を振り返ったとき、神様の御裁定が如何にこの年を予言しておられたかよく分かることが多々あり、それぞれの立場で「安値」であれば、「今年の販売は厳しそうだから心して精を出そう」、「高値」であれば、「今年は売れそうだから準備怠りなくしよう」とか、今一度気持ちを引き締める日となります。
さて、昨日のト定祭の御裁定は「高値」。今年は消費税の引き上げで消費事情は如何かと不安ですが、神様のお告げは「心配せずに仕事に精を出せ」とのことでしょう。