保護と捕獲の境目

 野生動物による被害は、最近各地で多発しています。彼らが食料を得る生息地の減少がその理由と見られますが、保護をされているがゆえに過度に頭数が増えることもその要因です。
 我が奈良県でも観光名物の鹿が問題となっています。奈良の鹿は春日大社の神の使いであり、国に指定された天然記念物です。保護が功を奏して、戦後100頭以下だったものが今は奈良公園に約1000頭、公園外地域には1000頭以上と推計されていて、周辺地域に被害をもたらしています。
 被害多発を受け、県は奈良公園を含む設定範囲以外では駆除ができるようにと、奈良の鹿愛護会や有識者らと競技を始めています。しかしここで問題となるのがやはり法の複雑さ。天然記念物設定では、一応主な生息地を奈良市一円と付記はあるものの地域を限定しておらず、一方鳥獣保護法では奈良市以外の捕獲を認めています。
 法律に躍らされるのは人ばかりではなく、当の本人は鹿の方です。今後文化庁とどういう決着をみるのかわかりませんが、鹿としては設定されるであろう保護範囲から追い落とされないよう、しっかり権力闘争に勝たねばなりません。

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