奈良県教育委員会主催の、国宝唐招提寺金堂保存修理事業現地見学会に、インターネットで申し込み、この土曜日に行って来ました。地上高2m程のコンクリート基礎に大型のH型鋼で組まれた修理建屋は、天平の建物群の中で異様です。
屋根の重みによる構造物のゆがみが修理の要因と聞いていましたので、屋根及びそれを支える構造部分の修理かと思っていましたが、修理過程の写真展示を見ると、36本の大円柱も取り除かれ、本尊盧遮那仏や薬師如来、千手観音などを安置する基壇までが修理の対象となっています。
平板に横木を打ち付けた昇りにくい階段を2階、3階と上がると、屋根と天井を取り去った状態の気組みが目の前です。所々に新しい部材が埋め込まれています。年輪年代調査で781年に伐採された垂木部材が展示してあり、諸説ある建立年代ですが、少なくとも鑑真和上はこの金堂の創建を待たずに亡くなられたようです。
解体前の写真を見ると、ゆがみは過去四回の修理にもかかわらず危機的状態にあったようで、小学校の時に「天平建築の独特の勾配」と教えられた屋根の傾斜は、実はかなりたわんでいたのかも知れません。
薬師寺もすぐ近くのこの界隈、ポカポカ陽気の土曜日とあって見学の人もかなりの数です。観光バスでしょうか、団体客の長い列を見て、「一緒でなくて良かった」と胸をなで下ろしたのでした。