新と古(ひね)

冬場の寒い中で出来た素麺は、すぐに出荷されることはありません。木箱の中で梅雨があけるまでねかせておきます。一度乾燥したもの(素麺ができるまで参照)に湿気を与えてさらに熟成させるのです。梅雨を越すことを、「厄を越える」といいますが、厄を越えると素麺に弾力ができ、風味が増します。素麺はその過程でより細く延ばすため表面に綿実油を塗って作ります。その綿実油に含まれている脂肪酸やグリセリンも分離するのでしょう。梅雨を越すと素麺が「ひね」れるのです。ですから、いくら保存期間が長くても、厄を越えなければ「寝かした」という状態にはなりません。前年の11月からその年3月までの間にできた素麺をいわゆる「新」といい、二度厄を越えたものを 「ひね」と呼ぶのです。



「ひね」と熟成

では、「ひね」れば「ひね」れるほど美味しくなるのでしょうか。 1回梅雨を越えたものを「新物」、2回梅雨を越えたものを「2年ひね(通称 ひね)」、3回超えたものは「3年ひね(通称 大ひね)」といいます。素麺は麺を充分にきたえた上に、表面を油で保護していますから年月が経つほどひねれて歯ごたえが増しこしが良くなりますが、それも3年ひねが限度。4年になると風味が飛び降下が始まります。風味と歯ごたえのバランスが1番いいのは2年ひね物で、翁の商品は2年ひね物ですが、しっかりとした歯ごたえをお好みの方のために3年ひね物もご用意致しています。