手延べそうめんづくりはなぜ冬にする?

2日がかりの作業である素麺づくりの適温は、仕事を始める早朝の気温が2~3度、昼間が10度、夜間が2~3度といったところでしょうか。
夜間に0度まで下がってしまうと、熟成が進まず翌日素麺が気持ちよく延びてくれません。これは朝になってからいくらストーブを焚いて温めてもだめです。じっくりと時間をかけて熟成させないと言うことをきいてはくれません。ご家庭で手打ちパスタなどを作られる方ならわかりやすいかもしれませんね。充分に熟成させて、グルテンの働きをよくすると、麺が自分で延びてくれます。寒ければこたつの中へでも入れればいいかとも思いますが、そうしたところでやわらかくなるだけ。芯から発酵していないので、自分で延びてはくれないのです。
大切な乾燥工程にも気候は影響します。冷たい風が乾燥した空気を機(はた)に掛けられた麺線に吹きかけ、程良い時間で水分を飛ばしてくれます。この地で日本で最初の素麺造りが始まったのも、奈良朝という朝廷があった条件以外に、この地の気候が最適であることに由来するかもしれません。 冬場に素麺が作られるわけ、お分かりいただけましたでしょうか?