つくる時期でどう違う?

 日本で初めて手延べそうめんが生まれたこの地では、なぜ冬につくる?にあるように、そうめんは極寒(12月~翌3月)期間につくるのが常でした。
 その手延べそうめんはグルテンの力にあるように、小麦粉に水を加え捏ねることで、小麦粉に含まれる二つの蛋白質が網目をもった繊維状のグルテンに変化することで、引っ張って延ばしつくることができるようになります。
 極寒期間では、気温が低くグルテンへの生成が遅いため、グルテンの生成を待っては少し延ばし、また時間をおいて(「うまし」と呼ばれます)はまた延ばすの工程を繰り返し、2日がかりでつくります。
 このじれったいような工程と、冬場の乾燥した空気が、腰のある美味しい手延べそうめんの源となっています。
 ところが昨今では、機械化が進み大規模経営となると、1年中手延べそうめんをつくるようになりました。空調管理が進んだとは言え、冬場の寒気と空気の乾燥度合い、そしてそれらの一日を通じての変化度合いには、まだまだ及びません。
 冬場以外の製造の利点は、グルテンの生成が速やかで一日工程でつくれ生産性が上がることです。そこに塩が関連してきます。水に塩を溶かして捏ねますが、食味をあげる他に適度な(重要です)塩分にはグルテンの網目を強くする重要な役目があります。と同時にグルテンの生成を遅らせる逆効果もになっています。麺を延ばす重要なグルテンですが、多すぎても硬くなりすぎ困るのです。
 冬場でもその日の気候で、塩加減を調整するのですが、気温が上昇した状態では、このグルテンの生成が早すぎます。そこで生成を遅くするがために、逆効果を使って塩分濃度を更に高めることとなります。急激に延ばすこと、塩分濃度高めが食感に影響しているともいえます。