三輪に手延べそうめんができたわけ

 三輪は日本における素麺発祥の地。でもどうして三輪なの??


素麺の原材料は「小麦」と「水」。三輪では良質の小麦が栽培されていましたし、美味しい水が飲めました。その証拠に、美味しい水といえばお酒です。万葉の頃から神集いの山としてあがめられてきた三輪山が、素麺の神様であり、またお酒の神様でもあったことが、良質の小麦と美味しい水の存在を物語っています。
けれど良質の小麦と水が採れる場所というだけなら、他にもたくさんありますよね。なのにどうして三輪なのか。原材料には現れないが、素麺に欠かせない大切な条件があります。それは「風」です。

奈良市から南へ約20km。奈良盆地が吉野の山に変わろうとする、その東南端に三輪はあります。素麺づくりは冬場の作業ですが、奈良盆地の冬は底冷えがします。昼夜の温度差が大きく、湿度が低く晴天の多いのが特徴です。しかしこの温度差が、素麺作りには絶好の条件。麺をきたえるには寒い方が適しているし、麺を延ばすにはある程度の温度が必要だからです。三輪素麺は生まれるべくして生まれたものなのかもしれません。