胸を張っていきましょう

 高速増殖原型炉「もんじゅ」の原子炉容器内に燃料交換用装置が落下したトラブルで、政府はメーカー・東芝に対し、損害賠償請求を検討するとの先月末のニュース。
 日本において原子力発電所の是非は意見の分かれるところです。地下資源をほとんど持たない日本の実情からして、私は原子力発電技術の開発は不可欠だと思っています。燃料として使われるウランもまた地下資源です。だからこそ燃料を燃して更に多くの燃料を得る高速増殖炉技術は不可欠だと思います。常陽からもんじゅへと受け継がれてきた開発、その開発に携わる人は皆同じ思いではないでしょうか。
 1994年に初臨界に達したもんじゅは1995年に最も恐れられていたナトリウム漏れ事故。不可欠開発と胸を張るならなぜ隠蔽工作をしたのでしょうか。残念です。あれやこれやで2010年5月運転再開、再臨界。ところが同年8月、今回のニュースの事故です。このときもまた現組織の日本原子力研究開発機構は「落下による影響はない」とのコメント。その後落下した装置の引き上げもままならないことが判り、復旧費用の見通し約17億5千万円を、「国民には迷惑はかけない」と胸をはったつもりのコメントなのでしょう。
 なんかちぐはぐで一貫性の無い、こわごわ橋を渡っているかのようです。どこにも無い技術の開発、人知及ばぬ事態もあるでしょう。責任所在が明らかならば責任を取るのは当たり前で、今回のことは機構と東芝に任せておけばいいことです。もっと胸を張っていこうではありませんか。

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高齢者の万引き

 いくつかのニュースで高齢者の万引きが取り上げられています。昨年、万引きの疑いで逮捕・送検された65歳以上の高齢者はその前年より343人増え、未成年者の摘発人数と肩を並べる2万7362人だったとのこと。しかも20年連続増え続けているといいます。
 経済的な理由のほかに、いずれのニュースも高齢者の孤独をその理由に挙げています。果たしてそうなのでしょうか。私にはこの分析は安易過ぎると感じます。
 私も同世代ですのでそう感じるのですが、私の世代、道徳はもちろんのこと、罪を犯すことがいかに他人にとっても自分にとっても悪いことか、十二分に植えつけられました。祖父母や両親からだけでなく、周りの人々からもです。そんな状況が続いてその社会で歳を積み重ねていったなら、寂しいから、他の人にかまってもらいたいからといって、安易に万引きをするでしょうか。
 いまどれほどの大人が周りの若者を叱ることができるでしょうか。私はとても怖くてできません。相手が危害を加えそうに無い小さい子供であっても、しつけの悪さを恥じることなく親が出っ張ってくる時代ですから。
 たとえ高齢者であっても、今の社会の風潮に流されているように、私には感じられてしょうがありません。

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Apple store

 村上春樹氏の違法コピーされた「1Q84」などがAppleの審査を通り、Apple storeで販売されているというニュースがありました。
 Appleといえば、一時経営が傾いていたもののスティーブ・ジョブス氏の復帰以来、スケルトンPCでの強烈パンチに始まり、洗練されたデザインと時代ニーズを先取りした製品で成功し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いです。
 ただ、「お客様は神様です」という言葉は、Appleの辞書には無いようで、先のiPhone4の持ち方によって電波が途絶える問題でも、当初は「どの携帯電話機でもあること」と強気でした。今回の事柄もAppleが直接犯罪を起こしているわけではありませんが、販売によって手数料を取っているわけですから、悪く言えば「盗人の元締め」であるにもかかわらず、これに対するコメントをまだ目にしません。
 Apple storeのように、不特定多数の人から著作権がらみの品を集める形態では、審査をすり抜けて必ずこのようなことが起こるでしょう。今判明している件は氷山の一角に過ぎないと思います。著作権者が一々これらを調べて回るわけにもいかず、この形態で販売をするならば、それに対する対応をあらかじめ明確にしておかねばならないと思います。
 Appleがどういうコメントを出してくるか、非常に興味があります。

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気骨がほしい

 今回の尖閣諸島沖での中国漁船の衝突事件は、民主党の弱腰として早速臨時国会の争点の的です。沖縄検察が独自に船長を釈放したとは素人の私でも信じがたく、もしそうであれば国の施策にまで検察が関与することの方が問題で、政府がなぜきっぱりと「政治判断で指示した」と言わないのか不思議ですらあり、民主党の屋台骨のひ弱さを感じます。
 民主党内に中国にもの申す人がいないのかと思いましたが、asahi.comに枝野幸男幹事長代理の「中国は「あしき隣人」『法治主義通らぬ』 講演で枝野氏」(※1)を見て、「捨てたものでもない」とも思います。ただ記事にある「中国は法治主義の通らない国だ。そういう国と経済的パートナーシップを組む企業は、よほどのお人よしだ」は言い過ぎで、中国の巨大市場や安い労働力を頼りにしないといけない国内経済の状況は、自らにも責任があることも自覚してもらいたいです。
 折しも今日からノーベル賞受賞者の発表があり、平和賞候補として中国の代表的な反体制人物である劉曉波が取りざたされていることに対し、中国がノルウェーに選ばないよう政治的圧力をかけているそうですが、ノーベル賞財団が沖縄検察のようではないことを切に希望したいと思います。

(※1) http://www.asahi.com/politics/update/1002/TKY201010020190.html?ref=rss

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制限速度の見直し

 asahi.com(※1)に依ると、高速道での制限速度が場所によって引き上げられるとのこと。速度基準の見直しは1968年の制定後42年で初めてで、「やっと」の感が拭えません。運転をなさっている方は常にお感じになっていることと思いますが、実体に合わない制限速度がそこかしこ、「これはスピード違反の罰金を取るためか」と思ってもしまいます。
 今回の見直しは高速道に限られますが、一般道でも同様の見直しが必要でしょう。危険とは感じられない場所で制限速度を守りのろのろ走っていると、他のドライバーのいらだちを呼び逆に危険だったりします。
 この際、「ねずみ取り」も見直してほしいものです。危険だなと思う場所は自ずとスピードを落とします。逆に少々のスピードでも安全だと思う場所や下り坂でついスピードのでてしまう場所、そして車を止めるスペースのある場所を選んでの出店。ドライバーの安全のため速度違反を取り締まっているというより、お客様の多い場所、立地条件の良い場所が取締の基本のように感じます。より危険な薄暮時には既に閉店です。「安全の確保」というのならばもう少し別なところに人員を配置してはいかがでしょうか。

(※1) http://www.asahi.com/national/update/0819/TKY201008190191.html

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スーパーコンピューター

 事業仕分けの「どうして1位ではなくて2位じゃいけないのですか?」で有名になったスーパーコンピュータ。その処理能力ランキング「TOP500」の最新版(※1)記事がありました。
 記事での注目は中国が2位と7位に入ってきたこと。しかも2位のスパコンは理論ピーク性能では1位のJaguar Crayを抜き世界トップ。それに引き替え日本勢は、22位、37位、42位。かつての隆盛はありません。
 この結果を事業仕分けに望んだ方々はどう受け取っておられることでしょう。関係者の猛烈な反対で予算は復活したものの、冒頭の言葉の裏には「手をつないでゴールする運動会世代」の悪い面が感じられてしょうがありません。
 前にも書きましたが、技術立国でないと戦えない日本、「1位を目指さないでどうする」の思いは今も変わりません。「2位じゃいけないの」どころか、現状では2位を目指すのも大変そうです。付いた予算、余計な経費を削ってでも技術向上に効率よく使っていただきたいと思います。

(※1) http://journal.mycom.co.jp/news/2010/06/01/094/index.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+haishin%2Frss%2Fenterprise+%28%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%AB+%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B

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力関係

 昨日のasahi.comに、総合スーパー「山陽マルナカ」が、新店舗の開店作業や店の改装作業に、納入業者の従業員を無償で派遣させたり、自社の商品を納入業者らに買わせたりした疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けたとのニュースがありました。でもこれは氷山の一角です。
 スーパーと取引のある問屋さんやそこに商品を納めているメーカーは、自社の商品を棚に並べてもらわない限り売上げは上がりませんから、スーパーの依頼に合わせ期末毎の棚卸しの手伝いや新店の陳列は営業マンの仕事の一部になっています。問屋やメーカーの販売促進の一手段と割り切れば良いのかも知れませんが、やはりそこにはもし断れば商品を置いていただけないのではとの心理が働き、スーパーもそれを見越して依頼がし易いのも否めません。
 大メーカーは依頼を断れるでしょうが、問屋さんはそのメーカーの商品を扱う同業者は他にも多々あるわけですから、強くは出られません。
 
 今回の立ち入り検査を機に体質改善がなされれば良いのですが、商取引がクリーンになったとしても、逆にそのサービスを営業手段として売り込む業者も出てくることでしょうから、売り手と買い手の絡みはほんに難しいものです。

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職務特権の裏で

 asahi.comで「JR東海社員7人が無賃乗車」の記事を見ました。イコカと社員乗車証を使って近鉄を無賃乗車していたとのこと。イコカの入場記録は駅窓口の処理機で消去していたそうですので、漏れなければ痕跡も残りません。
 他に不正がないか調べているとのことですが、既に7人であり、自慢げは人の性ですからかなりの広がりをみせていると想像します。
 このような特権を利用しての犯罪はしばしば起こります。社員の教育をいかに徹底してもなくならないでしょう。システムを考えても更に抜けが生じます。撲滅するためには職務特権を廃止すること以外にはないと思います。この特権が労使間の協定であるならば、少し手間ですがその分は別に手当として支給することです。
 ケチな犯罪ですし、「社内で厳正に対処し、近鉄への対応も済ませた」と公表していなかったとのことですが、このような小さな積み重ねが現在のモラルの低下をもたらしていると言えなくもなく、むしろ特権を利用することほど卑劣なことはないですから、JRには(他の鉄道会社にも)厳重に対処していただきたいと思います。

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地デジ推進

 テレビの地上デジタル受信を推進するため、アナログで受信すると画面下に黒い帯が入りそこに、「ご覧のチャンネルは2011年7月で終了します」といったテロップを流す放送を始めるそうで、ニュースでは軽く取り上げていますが、今もアナログで視ている人には不快な嫌みやいじめに私は感じます。
 BS契約をせずにNHK BS放送を視ると、画面をさえぎる形で契約を促すテロップが表示されます。この場合は契約をしていないのですから許されるでしょうが、NHKに受信料を払っているにもかかわらず、期限が来ているわけでもなくアナログ受信をしているというだけで煩わしい画面を強いることが許されるものなのでしょうか。
 そもそもデジタルに移行することを知らない人はどのくらいいると考えてのことでしょうか。私には、知らない人は世間から孤立をしているわずかばかりだと思われます。地デジ化が進んでいないのは「期限が来るまでは今のテレビを使おう」とか、別の理由に依るものでしょう。NHKも民放も放送の中で自らの番組の宣伝を盛んにしていますので、その中に地デジ推進のコメントを入れるとか、別の手段を使った方が良いのではないでしょうか。

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隠れ銀杏

 鎌倉は幕府が置かれていただけあって、他とは随分雰囲気の違う街です。私も東京にいた頃何度か訪れました。田舎から知人や家族が出てきたときには、知ったかぶりで案内したこともあります。
 鎌倉といえば鶴岡八幡宮、その樹齢1000年ともされる大銀杏が風で根こそぎ倒れたとのニュースには、「あんな大木が・・」と驚きました。名物が消えたかと残念に思っていましたが、根本から3・4m程で胴切りにして植え直し、再生の可能性が大と知り、岐阜の淡墨桜(うすずみざくら)と並び称される銘木になればと、期待をしています。
 DNAからクローン銀杏を作る案もあるそうですが、他と明らかに違う特徴で見分けのつく銀杏ならともかく、「これがあの銀杏なの」と半信半疑で見るのに比べ、あの太い幹から新たな芽がふけば感慨もひとしおでしょう。
 「実朝死すとも銀杏は死せず」となってほしいものです。

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